もうなにもしたくなくて、でも化粧をして出かけた
前は出かける予定がない日も必ず綺麗にメイクしてた。それは近眼の人がメガネをかけるのと似てて、メイクすることによって目が覚めて、それで私は日々を送れてた。送れてたっつっても私は会社勤めをしてた時も毎日遅刻をし、食事も朝はちゃんと作っても夜はなんだか作らないままでピザを取るような生活だったけど。
でもメイクは毎日出来ていた。髪も巻いていた。
子供がそれを覚えていて、こないだ私の髪を指で巻き取りながら、「巻いてないね、」と言った。前はメイクして、ヘアメイクもして、服は部屋着だったけど出かけようと思えば着替えてすぐに出られる私が普通だったこに、子供にそう言われた時、「ああ、(バレた)」と思った。
だって何日も髪を洗えずにいたりして、その上メイクなんかもう全くせず、ただただ肥って、20年後は嫌われ松子の最期のように、生活保護を受けながら、汚れた部屋の中で独りただ生きて、ある日ご迷惑な死に方をするんじゃないかと思っていたから。
今朝は病院に行く日だったからメイクした。
太った顔はどんなに塗っても綺麗にはならないし、太った体に合う服もなくて、安いワンピースにセーターを着て、安物の大きいサイズのダウンを羽織って、ドブネズミ気分で車に乗った。
以前も、ドブネズミ気分で過ごしてた時があった。それを思い出してた。今より痩せてたのに、ドブネズミだと思ってた。その時はクスリを使うのをやめて、やめるグループに通う日々だった。太った体を引きずりながら下北沢のキッチン南海に入って、そのあとかつ屋でトンカツのはしごして、クスリが切れるとどうしても食べたくなってしまうんだ、そして醜くブクブク太って、全ての服が入らなくなって、グループの人のお下がりのサーフブランドの服かなんだかを貰って、ああもう最悪だ、なんて醜いんだ、死んでしまえ、いや、今は食おうと、ひたすら食べていた。
あの時に比べたら少しは前向きだ。そんなことないようにも思えるけど、1人でなんとかしようとしてる。醜さは年齢とデブが重なって前よりさらに酷いんだろう。
でもどうにかしようとしてる。誰にも会わずに、誰にも話さずに。というか話すところがないから。
私みたいな負け組に、話す場所はないから。
惨めだなあ。今、コップ1.5杯飲んでる。あと0.5杯飲んだらお風呂洗って、時間までドラマ見よう。取り留めもなく見続けるんだ、昔見て、全部さっぱり忘れてしまったドラマ。
ねえ、8キロ近く痩せたのにまだ全く普通の体型にならない。
今日ファミマで摂食障害の女の子を見た。
あの子は吐いてんのかな、それとも拒食なのか。
あそこまではなりたくない。ていうかなれない。生きるためには自信を取り戻さなきゃ。痩せなきゃ。
チクタク、急かす音がする。